贈与税の申告と納税は、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までとなります。
納税については、贈与税額が10万円を超え、かつ、納期限(納付すべき日)までに金銭で納付することを困難とする事由があるときは、申請により、その納付を困難とする金額を限度として、5年以内の年賦で納める延納制度があります。この場合には利子税がかかるほか、原則として担保の提供が必要となります。
注:贈与税については、財産を贈与した方と贈与を受けた方との間で連帯納付の義務があります。
FAQ
住宅取得等資金の相続時精算課税制度選択の特例とは?
令和8年12月31日までの間に父母や祖父母などからの贈与により、住宅取得等資金の対価に充てるための金銭を取得した場合で、一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。
1 受贈者等の要件
1 | 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人であること又は贈与を受けた時に贈与者の孫であること |
2 | (1) 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。 (2) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。 (3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。 (注) 受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。 (4) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有し、かつ日本国籍を有していること。 (注)贈与を受けた時に上記の要件に該当しない場合であっても、一定の要件の下に対象となる場合があります。 (5) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。 (注) 贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、原則として、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。 |
2 住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等の要件
「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等又は住宅用の家屋の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅用の家屋の取得又は増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含みます。
また、対象となる住宅用の家屋は、日本国内にあるものに限られます。
(1)新築又は取得の場合の要件
1 | 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。 |
2 | 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。 ① 建築後使用されたことのない住宅用の家屋 ② 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、昭和57年1月1日以後に建築されたもの ③ 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの ④ 上記②および③のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの |
(2)増改築等の場合の要件
1 | 増改築等をした後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。 |
2 | (1)増改築等の工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。 (2)増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。また、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること。 |
住宅取得等資金の贈与を受けた場合は?
令和6年1月1日から令和8年12月31日までの間に父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは贈与税が非課税になります。
1 受贈者ごとの非課税限度額
省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 | |
---|---|---|
令和6年1月1日から令和8年12月31日まで | 1,000万円 | 500万円 |
2 受贈者等の要件
(1) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。
(注) 配偶者の父母(または祖父母)は直系尊属には該当しませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
(2) 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。
(3) 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をした住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)であること。
(4) 平成21年分から令和5年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けたことがないこと(以下、この期間の「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の制度を「旧非課税制度」といいます。)。
(5) 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。
(6) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
(注) 受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
(7) 贈与を受けた時に日本国内に住所を有し、かつ日本国籍を有していること。
(注)贈与を受けた時に上記の要件に該当しない場合であっても、一定の要件の下に対象となる場合があります。
(8) 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住することまたは同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
(注) 贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、原則として、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。
3 住宅用の家屋の新築若しくは取得または増改築等の要件
(1)新築または取得の場合の要件
1 | 新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。 |
2 | 取得した住宅が次のいずれかに該当すること。 ① 建築後使用されたことのない住宅用の家屋 ② 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、昭和57年1月1日以後に建築されたもの ③ 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたもの ④ 上記②および③のいずれにも該当しない建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたもの |
(2) 増改築等の場合の要件
1 | 増改築等をした後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。 |
2 | 増改築等の工事が、自己が所有し、かつ居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写し」、「検査済証の写し」または「増改築等工事証明書」などの書類により証明されたものであること。 |
3 | 増改築等に係る工事に要した費用の額が100万円以上であること。また、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に要したものであること。 |
相続税とは?
相続税とは、亡くなられた方の財産を相続や遺贈によって取得した時に生じる税金です。
被相続人とは亡くなられた方を、相続人とは相続によって財産を取得した方を指します。
相続税の申告・納税期限は?
相続税の申告と納税の期限は相続の開始があったことを知った日(通常は亡くなった日)の翌日から起算して10か月目です。
申告書は亡くなられた方の亡くなられた時点での住所地を所轄する税務署に提出することとなります。
申告期限までに申告書を提出しなかった場合には、本税以外に加算税がかかり、納期限までに納税しなかった場合には、延滞税がかかります。
相続税の計算の仕方は?
相続税は、相続や遺贈によって取得した財産の価額、相続時精算課税の適用を受けた贈与財産の価額から相続時精算課税に係る基礎控除を控除した残額及び、加算対象期間内の暦年課税に係る贈与財産の価額の合計額から債務と葬式費用を控除した額が「基礎控除」を超える場合にその超過部分(課税遺産総額)に対して課税されます。
※墓所、仏壇、祭具や国等への寄付した財産、生命保険金や死亡退職金の内一定額までは、非課税財産となります。
※基礎控除額 3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続分に応じる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | ― |
1,000万円超〜3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
3,000万円超〜5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
5,000万円超〜1億円以下 | 30% | 700万円 |
1億円超〜2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
2億円超〜3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
3億円超〜6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
税額から控除されるものとは?
未成年者控除
相続人が18歳未満の場合は、18歳に達するまでの年数1年につき10万円が控除されます。
障害者控除
相続人が障害者の場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が控除されます。
暦年課税に係る贈与税額控除
正味の遺産額に加算された「加算の対象となる暦年課税に係る贈与財産」の価額に対する贈与税額が控除されます。
相次相続控除
短期間に相続開始が続いたときは、相続税の負担が過重となるため、10年以内に2回以上の相続があった場合、前の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10%の割合で逓減した後の金額が後の相続に係る相続税から控除されます。
外国税額控除
相続等により国外の財産を取得した場合において、その財産に所在地国で相続税に相当する税が課せられたときは、二重課税を防止するため我が国の相続税額から一定額が控除されます。
相続時精算課税分の贈与税額控除
相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税がある場合には、相続税額からその贈与税額に相当する金額が控除されます。
なお、控除しきれない贈与税がある場合は、申告することにより、その控除しきれない金額に相当する税額の還付を受けることができます。
みなし相続財産とは?
被相続人の死亡に伴い支払われる「生命保険金」や「退職金」などは、相続などによって取得したものとみなされ、相続税の課税対象となります。
ただし、「生命保険金」や「退職金」のうち、一定の金額※までは非課税となります。
※ 「一定の金額」とは、「生命保険金」及び「退職金」の区分ごとに、
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
で計算した額のことです。
配偶者の税額軽減とは?
被相続人の死亡後における配偶者の老後の生活の保障、遺産の維持形成に対する配偶者の貢献の考慮等から講じられた措置であり、配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円までか、配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者には相続税はかかりません。
この配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。ただし、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付した上で、申告期限までに分割されなかった財産について申告期限から3年以内に分割したときは、税額軽減の対象になります。なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、税務署長の承認を受けた場合で、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割されたときも、税額軽減の対象になります。
債務とは?
相続財産の価額から控除される債務は、相続開始の時すでに存するもので、確実と認められるものに限ります。
債務が確実であるかどうかについては、必ずしも書面の証拠があることを必要とはしません。
債務の種類には、公租公課(税金)、銀行借入金、未払金、買掛金等があります。公租公課については、相続開始日において未納のものの他に、準確定申告で納付した所得税も含まれます。なお、固定資産税、都道府県民税、市町村民税等は納税義務が確定する日が債務の確定日となりますので、それ以降に相続が発生し、かつ相続開始日現在でそれらの税金が未納の場合、その金額が控除されますが、公租公課のうち相続人の責めによる延滞税等は控除の対象とはなりません。
次に銀行借入金等については本人が借入している場合には控除対象となりますが、保証債務については主たる債務者が弁済不能であるために債務を履行し、かつ主たる債務者からその金額を回収できる見込みがないとき、連帯債務については負担すべき金額が明らかになっている部分について控除することができます。
なお、墓所、霊びょう、祭具及び個人の公益事業用財産等の非課税財産の取得、維持又は管理のために生じた債務の金額は、債務控除の対象とはなりません。