FAQ

相続税が課される財産とは?

相続税は、次に掲げるように原則として相続や遺贈によって取得した財産の全てを課税対象としています。
被相続人の死亡を原因として相続人に支払われる保険金や退職金などは、被相続人 が生前から所有していた財産ではありませんので民法上は相続財産として遺産分割協議の対象とはなりませんが、相続税の計算をするときは「みなし相続財産」として相続財産に含めます。

被相続人が亡くなった時点において所有していた財産 ①土地、②建物、③株式や公社債などの有価証券、④預貯金、⑤現金などのほか、金銭に見積もることができる全ての財産
みなし相続財産 (1)死亡退職金、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金など
(2)被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例の適用を受けていた農地、非上場会社の株式や事業用資産など
(3)教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額(死亡日において受贈者が23歳未満である一定の場合などを除きます。)
(4)結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税の適用を受けた場合の管理残額
被相続人から取得した相続時精算課税適用財産 被相続人から生前に贈与を受け、贈与税の申告の際に相続時精算課税を適用していた場合の、その財産(この場合、相続開始の時の価額ではなく、贈与の時の価額を相続税の課税価格に加算します。)

令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、相続時精算課税適用財産の贈与の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額を加算します。

被相続人から相続開始前に取得した暦年課税適用財産 被相続人から相続などによって財産を取得した人が、加算対象期間内(被相続人の相続開始日が令和8年12月31日以前の場合の加算対象期間は相続開始前3年以内)に被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産(一定の特例の適用を受けた場合を除きます。)

 

相続時精算課税制度の計算方法は?

計算方法・計算式

(1)贈与税額の計算

相続時精算課税適用財産については、その選択をした年分以後、特定贈与者以外の者からの贈与財産として、1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。

その贈与税の額は、特定贈与者ごとに、1年間に贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額の合計額(課税価格)から、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円(注1)を控除(注2)し、特別控除額(限度額2,500万円。前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)(注3)を控除した後の金額に、一律20パーセントの税率を乗じて算出します。

なお、相続時精算課税を選択した受贈者が、特定贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を控除した後の金額に、贈与税の税率を適用し、贈与税額を計算します。

(注1) 同一年中に、2人以上の特定贈与者からの贈与を受けた場合、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円は、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格であん分します。

(注2) 令和5年12月31日以前の贈与に係る贈与税額の計算については、相続時精算課税に係る基礎控除額の控除はありません。

(注3) 特別控除額は贈与税の期限内申告書を提出した場合に限り控除することができます。

(2) 相続税額の計算

相続時精算課税を選択した受贈者に係る相続税額は、特定贈与者が亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。

その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

なお、相続財産と合算する相続時精算課税適用財産の価額は、原則として贈与時の価額(令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、相続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額)とされています。

教育資金の範囲は?

(1) 学校等に対して直接支払われる次のような金銭をいいます。

入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費または入学(園)試験の検定料など
学用品の購入費、修学旅行費や学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
(注)「学校等」とは、学校教育法で定められた幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校および各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園または保育所などをいいます。

(2) 学校等以外の者に対して直接支払われる次のような金銭で教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものをいいます。
<イ 役務提供または指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの>

教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供の対価や施設の使用料など
スポーツ(水泳、野球など)または文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)その他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
 ③ の役務の提供または ④ の指導で使用する物品の購入に要する金銭

(注)受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われる③~⑤の金銭については、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用に限ります。

<ロ イ以外(物品の販売店など)に支払われるもの>

②に充てるための金銭であって、学校等が必要と認めたもの
通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費

(注)費用の内容やその取扱いなど教育資金及び学校等の範囲についてご不明な点がある場合には、文部科学省ホームページに掲載されている教育資金及び学校等の範囲に関するQ&Aなどをご覧ください。

教育資金の一括贈与とは?

平成25年4月1日から令和8年3月31までの間に、30歳未満の方が教育資金に充てるために金融機関等※1との一定の契約に基づき、受贈者の直系尊属(祖父母など)から① 信託受益権を取得した場合、② 書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合または③ 書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等で有価証券を購入した場合には、その信託受益権等の価額のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額については、受贈者が金融機関等の営業所等に教育資金非課税申告書を提出等をすることにより、受贈者の贈与税が非課税となります。※2

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則として※3、その死亡日における非課税拠出額※4から教育資金支出額※5(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円を限度とします。)を控除した残額のうち、一定の計算をした金額(以下「管理残額」といいます。)を、その贈与者から相続等により取得したものとみなされます。

また、教育資金口座に係る契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(相続等により取得したものとみなされた管理残額がある場合には、その管理残額も控除します。)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされます。

※1 金融機関等とは、信託会社(信託銀行)、銀行等及び証券会社をいいます。
※2 平成31年4月1日以後に取得した信託受益権等について、その取得した日の属する年の前年分の受贈者の所得税に係る合計所得金額が1,000万円を超える場合には、この非課税制度の適用を受けることができません。
※3 贈与者の死亡日において、受贈者が23歳未満である場合や平成31年4月1日以後に取得した信託受益権等がない場合など、一定の場合には相続等により取得したものとはみなされません。
※4 「非課税拠出額」とは、教育資金非課税申告書又は追加教育資金非課税申告書にこの非課税制度の適用を受けるものとして記載された金額の合計額(1,500万円を限度とします。)をいいます。
※5 「教育資金支出額」とは、金融機関等の営業所等において、教育資金の支払の事実を証する書類等(領収書等)により教育資金の支払の事実が確認され、かつ、記録された金額の合計額をいいます。

 

結婚・子育て資金とは?

(1)結婚に際して支払う次のような金銭(限度額300万円)をいいます。
① 挙式費用、衣装代等の婚礼(結婚披露)費用(婚姻の日の1年前の日以後に支払われるもの)
② 家賃、敷金等の新居費用、転居費用(一定の期間内に支払われるもの)

(2)妊娠、出産及び育児に要する次のような金銭をいいます。
③ 不妊治療・妊婦検診に要する費用
④ 分べん費等・産後ケアに要する費用
⑤ 子の医療費、幼稚園・保育所等の保育料(ベビーシッター代を含む)など
(注)費用の内容やその取扱いなど結婚・子育て資金の範囲に関するご質問等は、こども家庭庁少子化対策室へお尋ねください。
こども家庭庁ホームページに結婚・子育て資金の範囲に関するQ&Aなどの情報が掲載されています。

 

結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税は?

平成27年4月1日から令和7年3月31日までの間に、18歳以上50歳未満の方が、結婚・子育て資金に充てるため、その金融機関等との結婚・子育て資金管理契約に基づき、父母など(直系尊属)から
①信託受益権を付与された場合
②書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合
③書面による贈与により取得した金銭等で有価証券を購入した場合
には、それらの信託受益権または金銭等の価額のうち1,000万円までについては、受贈者が金融機関等の営業所等に結婚・子育て資金非課税申告書の提出等をすることにより、贈与税が非課税となります。

贈与税とは?

贈与税とは、個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金です。
贈与税の課税方法には、「暦年課税」「相続時精算課税」の2つがあり、受贈者(贈与を受けた方)は贈与者(贈与をした方)ごとにそれぞれの課税方法を選択することができます。

自分が保険料を負担していない生命保険金を受け取った場合、あるいは債務の免除などにより利益を受けた場合などは、贈与を受けたものとみなされて贈与税がかかります。
ただし、死亡した人が自身を被保険者として保険料を負担していた生命保険金を受け取った場合は、贈与税でなく相続税の対象となります。

 

暦年課税とは?

その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。その1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算するものです。基礎控除額は110万円となります。

 

贈与税の計算方法は?

贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の価額を合計します。続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

平成27年以降の贈与税の税率は、次のとおり、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。
<一般贈与財産用>(一般税率)

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
300万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
3,000万円
税 率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

<特例贈与財産用>(特例税率)
この速算表は、贈与により財産を取得した者(贈与を受けた年の1月1日において18歳(注)以上の者に限ります。)が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により取得した財産に係る贈与税の計算に使用します。
(注)「18歳」とあるのは、令和4年3月31日以前の贈与については「20歳」となります。

基礎控除後の課税価格 200万円
以下
400万円
以下
600万円
以下
1,000万円
以下
1,500万円
以下
3,000万円
以下
4,500万円
以下
4,500万円
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円