葬式や葬送に際し、又はそれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は納骨の回送に要した費用、葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産等から照らして相当と認められるものに要した費用、葬式の前後に生じた出費で通常葬式にともなうものと認められるもの、死体の捜索費用又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用とされています。
なお、香典返戻費用、墓地等の買入費、法会に要する費用、医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用等は葬式費用とはなりません。
FAQ
相続税額の2割加算とは?
相続、遺贈並びに相続時精算課税を適用した贈与によって財産を取得した人が被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割相当の金額が加算されます。なお、被相続人の養子は、一親等の法定血族であることから、相続税額の2割加算の対象とはなりません。ただし、被相続人の養子となっている被相続人の孫は、被相続人の子が相続開始前に死亡した時や相続権を失ったためその孫が代襲相続人となっているときを除き、相続税額の2割加算の対象になります。また、相続時精算課税適用者が相続開始の時において被相続人の一親等の血族に該当しない場合であっても、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した時において被相続人の一親等の血族であった時は、その財産に対応する一定の相続税額については2割加算の対象とはなりません。
贈与財産の加算とは?
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与(「相続等」といいます。)によって財産を取得した人(※)が、被相続人から加算対象期間(注)に暦年課税に係る贈与によって取得した財産があるときは、その人の相続税の課税価格にその財産の贈与時の価額を加算します。
※被相続人から相続や遺贈により、租税特別措置法第70条の2の2第12項第1号(直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)および租税特別措置法第70条の2の3第12項第2号(直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税)に規定する管理残額以外の財産を取得しなかった人(相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得している人を除きます。)は含まれません。
(注)加算対象期間とは、相続税の課税価格に加算される暦年課税に係る贈与の対象期間をいいます。令和6年1月1日以後の暦年課税に係る贈与により取得した財産については、その加算対象期間が相続開始前7年以内となります。具体的な被相続人の相続開始日に応じた加算対象期間は、次の表のとおりです。
被相続人の相続開始日 | 加算対象期間 |
~令和8年12月31日 | 相続開始前3年以内(死亡の日からさかのぼって3年前の日から死亡の日までの間) |
令和9年1月1日~令和12年12月31日 | 令和6年1月1日から死亡の日までの間 |
令和13年1月1日~ | 相続開始前7年以内(死亡の日からさかのぼって7年前の日から死亡の日までの間) |
なお、その加算された贈与財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続税の計算上控除されることになります。
加算する贈与財産の範囲は、
被相続人から生前に暦年課税に係る贈与によって取得した財産のうち加算対象期間内に贈与されたものです。加算対象期間内に贈与されたものであれば贈与税がかかったかどうかに関係なく加算します。
加算しない贈与財産の範囲は、
⑴贈与税の配偶者控除の特例を受けている又は受けようとする財産のうち、その配偶者控除額に相当する金額
⑵直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、非課税の適用を受けた金額
⑶直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(上記の金額のうち、贈与者死亡時の管理残額については、相続等により取得したものとみなして、相続税の課税価格に加算される場合があります。)
⑷直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち、非課税の適用を受けた金額
(上記の金額のうち、贈与者死亡時の管理残額については、相続等により取得したものとみなして、相続税の課税価格に加算される場合があります。)
控除する贈与税額は、相続税の課税価格に加算された贈与財産に係る贈与税の税額です。ただし、加算税、延滞税及び利子税の額は含みません。
相続時精算課税制度とは?
【概要】
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に一定の書類を添付した「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
なお、この制度は贈与者(父母または祖父母など)ごとに選択できますが、一度選択すると、その選択に係る贈与者(「特定贈与者」といいます。)から贈与を受ける財産(「相続時精算課税適用財産」といいます。)については、その選択した年分以降すべてこの制度が適用され、「暦年課税」へ変更することはできません。
また、特定贈与者である父母または祖父母などが亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額に相続時精算課税適用財産の贈与時の価額(令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、その相続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額)を加算して相続税額を計算します。
相続時精算課税の対象者または対象物は?
適用対象者
贈与者は贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母など、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人または孫とされています。
なお、贈与により「非上場株式等についての贈与税の納付猶予及び免除の特例(措法70の7の5)」の適用に係る非上場株式等を取得する場合や、贈与により「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除(措法70の6の8)」の適用に係る事業用資産を取得する場合は、贈与者が贈与をした年の1月1日において60歳以上であれば、受贈者が贈与者の直系卑属(子や孫など)である推定相続人以外の者(贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者に限ります。)でも適用できます。
適用対象財産等
贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。
「地積規模の大きな宅地の評価」とは?
Ⅰ.「地積規模の大きな宅地」とは
地積規模の大きな宅地とは、三大都市圏においては500平方メートル以上の地積の宅地、三大都市圏以外の地域においては1,000平方メートル以上の地積の宅地をいいます。
(注1) 次の(1)から(4)のいずれかに該当する宅地は、地積規模の大きな宅地から除かれます。
(1) 市街化調整区域(都市計画法第34条第10号または第11号の規定に基づき宅地分譲に係る同法第4条第12項に規定する開発行為を行うことができる区域を除きます。)に所在する宅地
(2) 都市計画法の用途地域が工業専用地域に指定されている地域に所在する宅地
(3) 指定容積率が400パーセント(東京都の特別区においては300パーセント)以上の地域に所在する宅地
(4) 財産評価基本通達22-2に定める大規模工場用地
(注2) 三大都市圏とは、次の地域をいいます。
(1) 首都圏整備法第2条第3項に規定する既成市街地または同条第4項に規定する近郊整備地帯(2) 近畿圏整備法第2条第3項に規定する既成都市区域または同条第4項に規定する近郊整備区域(3) 中部圏開発整備法第2条第3項に規定する都市整備区域
Ⅱ.「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地のうち、普通商業・併用住宅地区および普通住宅地区に所在するものとなります。また、倍率地域に所在するものについては、地積規模の大きな宅地に該当する宅地であれば対象となります。
Ⅲ.評価方法
(1) 路線価地域に所在する場合
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地は、路線価に、奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価します。
(2) 倍率地域に所在する場合
「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地については、次に掲げる①の価額と②の価額のいずれか低い価額により評価します。
① その宅地の固定資産税評価額に倍率を乗じて計算した価額
② その宅地が標準的な間口距離および奥行距離を有する宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額に、普通住宅地区の奥行価格補正率や不整形地補正率などの各種画地補正率のほか、規模格差補正率を乗じて求めた価額に、その宅地の地積を乗じて計算した価額
(注)市街地農地等(市街地農地、市街地周辺農地、市街地山林および市街地原野をいいます。)については、その市街地農地等が宅地であるとした場合に「地積規模の大きな宅地の評価」の対象となる宅地に該当するときは、「その農地等が宅地であるとした場合の1平方メートル当たりの価額」について「地積規模の大きな宅地の評価」の定めを適用して評価します。
Ⅳ.規模格差補正率
規模格差補正率は、次の算式により計算します(小数点以下第2位未満は切り捨てます。)。
上記算式中の「」および「
」は、地積規模の大きな宅地の所在する地域に応じて、それぞれ次に掲げる表のとおりです。
(1) 三大都市圏に所在する宅地
地積 | 普通商業・併用住宅 地区、普通住宅地区 |
|
---|---|---|
![]() |
![]() |
|
500![]() 1,000 ![]() |
0.95 | 25 |
1,000![]() 3,000 ![]() |
0.90 | 75 |
3,000![]() 5,000 ![]() |
0.85 | 225 |
5,000![]() |
0.80 | 475 |
(2) 三大都市圏以外の地域に所在する宅地
地積 | 普通商業・併用住宅 地区、普通住宅地区 |
|
---|---|---|
![]() |
![]() |
|
1,000![]() 3,000 ![]() |
0.90 | 100 |
3,000![]() 5,000 ![]() |
0.85 | 250 |
5,000![]() |
0.80 | 500 |
非上場株式についての贈与税の納税猶予及び免除の特例とは?(法人版事業承継税制)
Ⅰ.法人版事業承継税制とは?
法人版事業承継税制は、後継者である受贈者が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税の納付が免除される制度です。
平成30年度税制改正では、この事業承継税制について、これまでの措置(以下「一般措置」といいます。)に加え、10年間の措置として、納税猶予の対象となる非上場株式等の制限(総株式数の最大3分の2まで)の撤廃や、納税猶予割合の引上げ(80%から100%)等がされた特例措置(以下「特例措置」といいます。)が創設されました。
Ⅱ.特例措置と一般措置の比較
特例措置 | 一般措置 | |
事前の計画策定等 | 特例承継計画の提出 (平成30年4月1日から令和8年3月31日まで) |
不要 |
適用期限 | 次の期間の贈与・相続等 (平成30年1月1日から令和9年12月31日まで) |
なし |
対象株数※議決権に制限のない株式等に限ります。 | 全株式 | 総株式数の最大3分の2まで |
納税猶予割合 | 100% | 贈与:100% 相続:80% |
承継パターン | 複数の株主から最大3人の後継者 | 複数の株主から1人の後継者 |
雇用確保要件 | 弾力化 ※雇用確保要件を満たさなかった場合には、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則第20条第3項に基づき、要件を満たさなかった理由等を記載した報告書を都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要があります。 |
承継後5年間 平均8割の雇用維持が必要 |
事業の継続が困難な事由が生じた場合の免除 | 譲渡対価の額等に基づき再計算した猶予税額を納付し、従前の猶予税額との差額を免除 | なし (猶予税額を納付) |
相続時精算課税制度の適用 | 60歳以上の贈与者から18歳以上の者への贈与 (租税特別措置法第70条の2の8等) |
60歳以上の贈与者から18歳以上の推定相続人(直系卑属)・孫への贈与 (相続税法第21条の9・租税特別措置法第70条の2の6) |
Ⅲ.対象者または対象物
先代経営者から非上場株式等の贈与を受けた後継者の方